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 日本文学(近代)備忘録

生年・作家
 
作品

1862.2.17

森鴎外

60

文壇の神様。軍医&官僚。風呂嫌いの潔癖症。子煩悩。

高瀬舟 : とても好きな作品。「欲がなく、足ることを知っている喜助」が私の理想の人間像だからなのだと思う。「罪とは何か?」とても考えさせられた。

1864.4.4

二葉亭四迷

45 名前の由来は「くたばってしまえ」。日本初の言文一致(口語文)の小説。 近代文学の革新者。魅力的な人物。人気者。病没。 浮雲 :  未完。仕事や恋に悩む主人公の内面がよく描かれている。

1867.2.9

夏目漱石

49

天才。9歳で里子→21歳で復籍。負けず嫌い。正岡子規と親友。「I love you→月がきれいですね」。神経衰弱→胃潰瘍で没。

吾輩は猫であ :デビュー作。(38歳)猫の視点で書かれている斬新な作品。細部が面白い。人間を客観的に批評している。

明暗 : 未完で残念だが漱石の凄さを改めて実感した作品。

文鳥、坊ちゃん、草枕、夢十夜、三四郎、それから、門、こころ

1868.110

尾崎紅葉

35

日本初の純文学結社「硯友社」を結成。病没。

金色夜叉 :  未完。復讐のために金の鬼となった男の心情がよく描かれている。

1871.8.30

国木田独歩

36 自然主義文学の先駆者。病没。

武蔵野 :  美しい自然描写に心が洗われる作品。

牛肉と馬鈴薯 :  独歩自身の心の叫びを垣間見たような作品。

1872.3.25

島崎藤村

71 自然主義文学の先駆者。

破戒 :  部落差別について知った作品。重いテーマだが読みやすい文章。

1872.5.2

樋口一葉

24 読書家。才女。誇り高く勝ち気。半井桃水に師事&交際。5千円札の肖像画。病没。

たけくらべ :  森鴎外が絶賛した作品。思春期の少年少女の淡い恋物語。美しい文章。

1873.11.4

泉鏡花

65 尾崎紅葉の弟子。ロマン的・幻想的な作風。 高野聖 :  幻想的で美しい描写が見事。

1875.7.31

柳田國男

 87  日本民俗学の創始者。秀才。高級官僚となりながら自分の足で各土地に伝わる伝承等を調査。退官後は朝日新聞社客員となり日本各地を調査旅行し紀行文を連載。

遠野物語 :  岩手県内陸部の遠野の人々に語り継がれてきた話を、遠野の人「佐々木鏡石」から聞いて國男がまとめた119編の短編集。「雪女」「河童」「座敷童」「天狗」など馴染みのあるもの?や「霧の中」など、あの世を覗いてきたような話が興味深い。 

1878.3.4

有島武郎

45

知的で容姿端麗。軽井沢で情死。

生まれいづる悩み :  武郎の人生観や祈りが汲み取れて、とても魅かれた。

小さき者へ :  自分の子どもたちに宛てた手記。力強い文章に引き込まれた。

或る女

1878.11.28

寺田寅彦

57

夏目漱石門下生。「吾輩は猫である」の「水島寒月」のモデル。東大首席で卒業。物理学者。病没。

団栗 :  淡々とした描写だが、ドングリを拾っている情景等が目に浮かぶ。人は亡くなっても繋がっていく。愛おしい作品。

1878.12.7

与謝野晶子

63

才女。浪漫主義の歌人。詩人与謝野鉄幹と結婚。子供11人。

新訳源氏物語 :  晶子の訳は和歌に精通しているためか、読みやすい。

1879.12.3

永井荷風

79

耽美主義の代表作家。

すみだ川、濹東綺譚 :  当時の東京の情景や時代背景を知ることができる。男女の情愛が巧みに描かれている。

1883.2.20

志賀直哉

88

小説の神様。白樺派。武者小路実篤と親友。生涯で影響を受けた人物は祖父、内村鑑三、武者小路実篤。父との不和&和解。

小僧の神様 :  ラストの解説は必要?でも好きな作品。

暗夜行路 :  近代日本文学の代表作。17年も掛けた長編小説。ラストがとても良い。

剃刀 :  描写が巧み。プライドの高い男は恐ろしい。

清兵衛と瓢箪

1885.5.12

武者小路実篤 

90

トルストイに強く影響を受けた。白樺派。志賀直哉と親友。理想郷「新しき村」を建設。

人間万歳 :  天使と神様の会話で構成されている戯曲。とても面白い。この作品で実篤を好きになった。

お目出たき人 :  見事なまでにおめでたい人。

友情

1886.7.24

谷崎潤一郎

79

耽美主義の文豪。秀才。永井荷風を崇拝。女性崇拝。三度の結婚。

春琴抄 : これぞ究極の愛。

細雪、痴人の愛

1887.7.27

山本有三

86 劇作家としてのスタート。 女の一生 :  長女が自立した後に再読し、結末にとても共感した作品。

路傍の石 :  苦労な人生にも誠実に立ち向かっていく主人公の生き様に心洗われた。好きな作品。

1888.12.26

菊池寛 

59

文壇の大御所。文芸春秋社創立。芥川賞・直木賞・菊池寛賞創設。芥川龍之介と親友。

恩讐の彼方に :  名作。クライマックスでは涙。たとえ大きな過ちを犯しても、罪と向き合い償うことができれば救われる。

1892.3.1

芥川龍之介 

35

頭脳派。天才。芸術至上主義者。夏目漱石の弟子。漱石を敬愛。退廃的。田畑の自宅で「ぼんやりした不安」という言葉を残して自死。

とても心惹かれる作家。何を読んでも読みやすいし、面白い。

羅生門、鼻 :  主人公の心の変化が面白い。

奉教人の死 :  驚きの結末に感動。

蜜柑 :  オレンジ色の蜜柑の映像がありありと目に浮かぶ。

魔術:欲を捨てなければならない。

河童

1894.10.21

江戸川乱歩

70 日本の探偵小説の父。筆名はアメリカの小説家エドガー・アラン・ポーにちなんだもの。

少年探偵団 :  子供の頃にハマった。

人間椅子 :  衝撃的。

1896.8.27

宮沢賢治

37 無欲で素朴。収集癖あり。死後に評価。病没。 銀河鉄道の夜、雨にも負けず(詩) :  賢治の世界観や死生観に共感している。 結婚前は「雨にも負けず」が私の座右の銘だったが…。

1898.2.15

井伏 鱒二

95 1966年文化勲章授与。 黒い雨 :  広島の被爆者である「重松静馬」の手記などを再構成した日記形式の作品。原爆直後の惨状が淡々と描かれている。辛い内容だが、戦争の恐ろしさを知るために読むべき作品。

1898.3.17

横光利一

49 菊池寛に師事。新感覚派。病没。 機械 :  凄い作品。狂人は誰?

1899.6.14

川端康成

72

1歳で父、2歳で母が他界し、祖父母に引き取られる。7歳から祖父と二人暮らし。15歳で祖父も他界し天涯孤独となる。

日本初のノーベル文学賞を受賞。新人発掘の名人。横光利一と親友。無類の犬好き。自殺。

伊豆の踊子、雪国 :  描写が美しくて細やか。情景が目に浮かぶ。

掌の小説 自伝的・官能的・幻想的な作品等、多種多様な短編集(122編)

短編だがどれも読み応えがある。心奪われた作品は「金一雀」「有難う」「神の骨」「夫人の探偵」「盲目と少女」「三等待合室」「さざん花」。

特に好きな作品は「十七歳」「小切」。

1899.8.5

壺井栄

67 小説家。童話作家。小豆島出身。壺井繁治と結婚。プロレタリア文学運動に参加。

二十四の瞳 :  戦争という時代を背景に大石先生と十二人の教え子の物語。名作。涙が溢れた。

1899.12.25

尾崎一雄

83

志賀直哉に師事した私小説家。志賀直哉との圧倒的な差を痛感し、5年ほど書けなくなるが、新妻をモデルにした暢気眼鏡で芥川賞を受賞。

鏡暢気眼(33歳)~日の沈む場所(83歳)までの50年に及ぶ私小説を読んできたので、親しみが湧いている作家。鏡暢気眼では20歳で天意無縫だった奥様も蜂と老人では60半ばで感慨深い。

ユーモアのある文章の中にも氏の死生観が込められている。

特に好きな作品は、

痩せた雄雞 : 悟りと愛情が感じられる。

山口剛先生 : 山口先生や大観堂の奥様のお人柄に涙した。

1901.2.17

梶井基次郎

31 東大を中退して療養生活を送る。病没。

檸檬、冬の日 :  基次郎自身の心情が投影されたような作品。切なくて美しい。絵画を鑑賞しているような気持になった。

桜の樹の下には : 桜は大好きだが、この作品を思い出してしまうことがある。美しい分だけ恐ろしい。

1903.6.22

山本周五郎

63

時代小説の巨匠。「日本婦道記」で直木賞候補になるが、「文学は文学賞のために存在するものに非ず」と辞退。

日本婦道記 :  戦中から戦後にかけて書かれた連作(短編小説集)。封建社会の中で強く、美しく、献身的に生きた女性たちが描かれている。一番好きな作品は「風鈴」。

青かべ物語 :  周五郎が昭和初期の漁師町「浦安」に移り住んだ時の人々とのふれあいや経験を元に書かれた短編集。特に好きなのは「経済原理」

1903.7.17

竹山道雄

80

ドイツ文学者

ビルマの竪琴 :  児童文学作品。フィクションだが、合唱する場面やラストの場面など映像が目に浮かび感動した。

1903.12.31

林芙美子

47

女学校を卒業後、職業を転々としながら作家活動に入る。病没。

放浪記 :  清貧の中から生まれた作品。芙美子のたくましさに魅了された。

めし :  好きな作品。夫婦の揺れ動く心理描写が見事&共感。

1904.12.28

堀辰雄

48

室生犀星・芥川龍之介に師事。新心理主義(心理の解剖を中心とする)作家。病没。

風立ちぬ :  透明感あふれる純愛作品。

1906.10.20

坂口安吾

48

無頼派。ヒロポンを常用。

桜の森の満開の下、白痴 : 恐いけれど美しい。惹かれた作品。

1909.5.5

中島敦

33

元高等女学校の教員。漢文派の格調高い文章を書いた作家。文体が美しい。病没。

山月記、李陵、弟子 :  中国の古典などを素材にした作品。どの作品も品格があり面白い。

1909.6.19

太宰治

38

芥川龍之介の大ファン。井伏鱒二に弟子入り(死後「井伏さんは悪人です」とメモあり)退廃的。麻薬中毒。5回の自殺未遂。入水心中。

ヶ島、斜陽、走れメロス、人間失格、富嶽百景: とても心惹かれる作家。

1918.11.6

藤原てい

98

夫は作家の新田次郎。次男は数学者・エッセイストの藤原正彦。

流れる星は生きている :  満州からの引き上げ体験の記録。あまりにも壮絶。極限の状況下でも母は強い。今、平和に暮らせていることを感謝せずにはいられない。多くの人に読んでもらいたい作品。

1923.8.7

司馬遼太郎

72

歴史小説の重鎮。

竜馬がゆく:大大大好き♡

1924.3.7

安部公房

68

日本を代表する世界的な作家。少年期のほとんどを満州で過ごす。

発想が凄くて、作品に引き込まれる。

棒:平凡な男(誰を指す?当時の日本人?)は棒になり、裁かれないことによって裁かれる。短い話だが奥が深くて何とも恐ろしい。

鉛の卵:どんな結末になるのかドキドキしながら読んだ。最後の文章、ジーンときた。

砂の女:人間の心理の変化を見事に表現した作品。受容することが幸せになる方法なのかもしれない。 

1925.1.14

三島由紀夫

45

スーパーエリート。天才。勤勉家。川端康成に見いだされ文壇デビューし、25年にわたる親交。

金閣寺、春の雪、三島由紀夫レター教室:

心惹かれる作家。