日本文学(古典)備忘録

~奈良時代 古事記 712年 天地創造から推古天皇までが記された日本最古の歴史書。ドラマチックでとても面白い。

・日本の古典文学1(さ・え・ら書房)

・古事記・日本書紀/神野志隆光・大庭みな子(新潮社)

・ビギナーズ・クラシックス日本の古典(角川文庫)

・古事記の恋/清川妙(ハルメク)

・古事記/梅原猛(学研文庫)

・古事記75の神社と神様の物語/由良弥生(三笠書房)

日本書紀 720年

海外(中国・朝鮮)を意識し、漢文で書かれた歴史書。


・古事記・日本書紀/神野志隆光・大庭みな子(新潮社)
万葉集

~759年

大友家持etc

日本最古の和歌集(4,500首・全20巻)皇族・貴族から庶民まで幅広い階層の人々の歌がおさめられている。

山上億良の「瓜食めば~」は大好きな歌。(巻3・337も好き。おすすめのサイト→万葉集入門)この歌の反歌(長歌に添える短い歌。歌全体が言い表したいことをまとめたり、補う)は銀も金も玉もなにせむに優れる宝子に及かめやも(世の宝という銀・金・宝石も一体何になるのでしょう。どんな素晴らしい宝も子どもに優るものはあるでしょうか。


・日本の古典文学2(さ・え・ら書房)

・ビギナーズ・クラシックス日本の古典

・ビジュアル版 日本の古典に親しむ3/池田彌三郎(世界文化社)

・中西進の万葉みらい塾

平安時代 日本霊異記

9世紀初め頃

景戒

日本最古の説話集(116話)。

黄泉の国に行って帰ってくる話など興味深い。「蟹の恩返し」「地獄を見てきた話」「ふたりの衣女の話」が特に好き。

*説話集:伝承や民話など様々な物語を集めて構成され、仏教的色彩、教訓性が特徴。庶民に向けて因果応報を説いている。


・くさらなかった舌-日本霊異記-/水上勉(平凡社)

・日本ノ霊異(フシギ)ナ話/伊藤比呂美(朝日新聞社)

・古代国家の文学-日本霊異記とその周辺-/多田一(三弥井書店)

竹取物語

901年頃

作者不詳

日本最古の物語。月の国から来た姫に男たちが求婚する物語。5人の求婚者(貴公子)も根性悪だが、無理難題を突き付けるかぐや姫も根性悪。最後は地球での出来事をすべて忘れて月に帰ってしまう。当時の政治を批判している作品とも言われている。


・日本の古典文学3(さ・え・ら書房)

・ビギナーズ・クラシックス日本の古典

古今和歌集

905年頃

紀貫之etc

万葉集から150年後の和歌集(1100首・全20巻・昔の和歌2/3と当時の和歌1/3)


・日本の古典文学4(さ・え・ら書房)

・ビギナーズ・クラシックス日本の古典

・古今和歌集/小町谷照彦〈編集・執筆〉田久保英夫〈エッセイ〉(新潮社)

伊勢物語

930年頃

作者不詳

日本最古の歌物語(125段)ほとんど恋物語。主人公は在原業平と言われている。藤原高子との恋物語と思われるもの多数。言葉遊びのテクニックが沢山あり、平安時代以降の恋の参考書。

恋の段は楽しく読めるが、東下りの段は切ない。

*世は摂関政治。業平は政府から追い出されてしまった苦労人。


・日本の古典文学3(さ・え・ら書房)

・ビギナーズ・クラシックス日本の古典

・ビジュアル版 日本の古典に親しむ12/中村真一郎(世界文化社)

土佐日記

935年頃

紀貫之

紀貫之が架空の女性になり、55日間にわたる船旅の日記文学。いつの時代も子を思う親の気持ちは変わらないことを実感。

*当時の男性は漢字、女性はかな文字を使用。かな文字の方が想いや描写を細かく表現できる。


・日本の古典文学3(さ・え・ら書房)

・ビギナーズ・クラシックス日本の古典

・ビジュアル版 日本の古典に親しむ10/竹西寛子・西村亨(世界文化社)

蜻蛉日記

974年以降

藤原道綱母

平安貴族のスーパー主婦「藤原道綱母」の21年にもわたる日記。赤裸々に家庭生活が綴られている。千年以上も前で時代背景が違っても、現代の人間と同じようなことを悩み、怒り、悲しみ、受容し、人の本質は変わらないことを実感。

・日本の古典文学6(さ・え・ら書房)

・ビギナーズ・クラシックス日本の古典

・ビジュアル版 日本の古典に親しむ10/竹西寛子・西村亨(世界文化社)

枕草子

1001年頃

清少納言

中宮定子に仕えていた(約8年間)清少納言の随筆集(日本初・三大随筆)。美的感覚と鋭い観察力。1000年も前の情景が伝わってくる。とても好きな作品。

*随筆:筆に随って書くこと。すらすらと流れるように書くこと。


・日本の古典文学7(さ・え・ら書房)

・桃尻語訳枕草子/橋本治(河出文庫)

・ビギナーズ・クラシックス日本の古典

・ビジュアル版 日本の古典に親しむ5/田辺聖子(世界文化社)

和泉式部日記

1008年頃 

和泉式部

恋人 敦道親王との和歌を中心に、馴れ初めから宮の邸に仕えるようになるまでの半年余りの様子を物語風に書かれたもの。


・日本の古典文学6(さ・え・ら書房)

・和泉式部日記/近藤みゆき(角川文庫)

・ビギナーズ・クラシックス日本の古典

・ビジュアル版 日本の古典に親しむ10/竹西寛子・西村亨(世界文化社)

源氏物語

1010年頃

紫式部

 →クリック
堤中納言物語

作者不明

短編(10編)の物語集。時期も作者もそれぞれ違うのではないかと言われている。どれも風変わりで面白い物語。有名な「虫めづる姫君」はジブリ作品の「風の中のナウシカ」に影響を与えた。


・阿部光子の更級日記|堤中納言物語(集英社)

・ビギナーズ・クラシックス日本の古典

更級日記

1060年頃

藤原孝標女

藤原孝標女は中流貴族の女性で伯母は蜻蛉日記の藤原道綱母。

13歳の時に父の任国・上総国(千葉)から京に上る90日間の道中記と、その後の40年にわたる人生を振り返って書かれた自叙伝。孤独な晩年の日記は切ないが、少女時代に源氏物語を読みたくて祈るところや源氏物語に夢中になっている姿は何とも愛おしい。

任国に下る父が娘の前で、ほろほろと涙を落とす様には胸が熱くなった。当時の日本の男性は感情を隠すことなく表現し、人の前でも涙を流す。平安時代の様子がわかりとても面白い。


・阿部光子の更級日記|堤中納言物語

・ビギナーズ・クラシックス日本の古典

・ビジュアル版 日本の古典に親しむ10/竹西寛子・西村亨(世界文化社)

今昔物語集

1120年頃

 説話集(1040話)。恐ろしい話、面白い話、教訓になる話等、読み応えがある。(蕪の子、舞茸の語源、釈迦の前世の話、会坂の盲人蝉丸etc)因果応報の話やあの世の話を読むと「心をきれいにしよう」と思う。


・日本の古典文学9(さ・え・ら書房)

・寂聴今昔物語(中央公論新社)

・ビギナーズ・クラシックス日本の古典

・ビジュアル版 日本の古典に親しむ15/古山高麗雄・野坂昭如(世界文化社)

大鏡

11世紀後半~12世紀前半

老人二人と若者一人の会話形式から成る平安時代の歴史物語。藤原一族のことがよくわかり面白い。

摂関政治という時代の流れの中で悲しい運命に翻弄された菅原道真や花山天皇などの話は切なくて涙が溢れる。

「大鏡」というタイトルは鏡に例えた下記の歌から。

あきらけき 鏡にあへば すぎにしも 今ゆく末の 事も見えけり(明るい鏡に向かうと同じように、このような話を聞くと、過去のことも、これからのことも、はっきりわかるものだ)

すべらぎの あともつぎつぎ かくれなく 新たに見ゆる 古鏡かも(この古ぼけた鏡みたいな話も、こうやって次々と順序立てて話せば、今のことのように思われるかもしれませんね)


・日本の古典文学8(さ・え・ら書房)

・ビギナーズ・クラシックス日本の古典

鎌倉時代

無名草子

作者不明

 

王朝物語。 「狭衣物語は源氏物語に次いで評判が高い」と記されている。源氏物語の影響を受けて書かれた作品とも言われている。純愛物語。冒頭の情景描写に引き込まれた。


・日本の古典-完訳-27/稲賀敬二・保木哲夫(小学館)

方丈記

1212年

鴨長明

随筆(三大随筆)。8年間に大火、竜巻、福原遷都、飢饉、地震と5つの大きな災厄を体験した長明。人生の苦悩が伝わってきた。無常を知った彼は4畳半の移動可能な家を選んだ。


・ビギナーズ・クラシックス日本の古典

・ビジュアル版 日本の古典に親しむ9(世界文化社)

平家物語

1240年

作者不詳

 

軍記物語。壮大な人間ドラマでもある。涙が溢れた。

冒頭の「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。奢れる人も久からず、ただ春の夜の夢のごとし。猛き者も遂にはほろびぬ、偏ひとへに風の前の塵に同じ。」はあまりにも有名。


・日本の古典文学12(さ・え・ら書房)

・ビギナーズ・クラシックス日本の古典

徒然草

1331年頃

吉田兼好

 243段からなる随筆(三大随筆)。多種多様な内容。大らかでユーモアがあり、とても魅力的な兼好さん。人生の達人の言葉に、私も学ばせていただいている。


・日本の古典文学7(さ・え・ら書房)

・ビジュアル版 日本の古典に親しむ9(世界文化社)

徒然草をよみなおす/小川剛生(筑摩書房) 

江戸時代

好色一代男

1682年

井原西鶴

主人公「世之介」の7歳から60歳までの54年間の生涯を描いた浮世草子。源氏物語のパロディ。54章から成る。


 ・日本文学全集11/池澤夏樹個人編集/島田雅彦(河出書房新社)

奥の細道

1694年頃

松尾芭蕉

俳諧紀行文。江戸から東北・北陸を歩んだ約2400キロの旅の記録。

俳句は淡々と詠まれているが、心に沁みる。特に平泉で詠まれたものは栄華のはかなさが伝わってきて切ない。


・ビギナーズ・クラシックス日本の古典

・ビジュアル版 日本の古典に親しむ7/山本健吉(世界文化社)

雨月物語

1776年

上田秋成

9編の怪異小説。怖いというよりも人間の情や悲しみが伝わってくる。傑作揃い。特に好きなのは「白峰」と「菊花の約」。

*時代背景がわかるとより面白い。白峰=保元の乱・平治の乱

菊花の約=出雲支配


・ビジュアル版 日本の古典に親しむ14/藤本義一(世界文化社)

・日本文学全集11/池澤夏樹個人編集/円城塔(河出書房新社)

春色梅児誉美

1832~

1833年

為永春水

人情本(江戸で出版された大衆本のうち庶民の色恋をテーマにした小説)の代表作。当時の大ベストセラー。


・日本文学全集11/池澤夏樹個人編集/島本理生(河出書房新社)

里見八犬伝

1814年~1842年

馬琴

 28年もの歳月が費やされた大長編作品。

八犬士たちの出会いや冒険にワクワクした。


・ビギナーズ・クラシックス日本の古典

・21世紀版・少年少女古典文学館 第21巻/栗本薫(講談社)

 

本(その他)

作家と楽しむ古典-松尾芭蕉/おくのほそ道 与謝蕪村 小林一茶 近現代俳句 近現代詩-

松浦寿輝著 辻原登著 長谷川櫂著 小澤實著 池澤夏樹著

河出書房新社・2019.4出版

澤夏樹個人編集の「日本文学全集」で新訳を手掛けた作家たちによる古典案内の第5弾。2018年に開催された連続講義を元に書籍化。


作家と楽しむ古典-平家物語 能・狂言 説経節 義経千本桜-

古川日出男著 岡田利規著 伊藤比呂美著 いしいしんじ著 

河出書房新社・2018.11出版

澤夏樹個人編集の「日本文学全集」で新訳を手掛けた作家たちによる古典案内の第4弾。2017年から2018年にかけて開催された連続講義を元に書籍化。


作家と楽しむ古典-好色一代男 曾根崎心中 菅原伝授手習鑑 仮名手本忠臣蔵 春色梅児誉美-

島田雅彦著 いとうせいこう著 三浦しをん著 松井今朝子著 島本理生著 

河出書房新社・2018.6出版

澤夏樹個人編集の「日本文学全集」で新訳を手掛けた作家たちによる古典案内の第3弾。2016年から2017年にかけて開催された連続講義を元に書籍化。


作家と楽しむ古典-土左日記 堤中納言物語 枕草子 方丈記 徒然草-

堀江敏幸著 中島京子著 酒井順子著 高橋源一郎著 内田樹著

河出書房新社・2018.1出版

池澤夏樹個人編集の「日本文学全集」で新訳を手掛けた作家たちによる古典案内。2016年から2017年にかけて開催された連続講義を元に書籍化。


作家と楽しむ古典-古事記 日本霊異記・発心集 竹取物語 宇治拾遺物語 百人一首-

池澤夏樹著   伊藤比呂美著 森見登美彦著 町田康著 小池昌代著

河出書房新社・2017.1出版

古典の新訳を手掛けた作家たちは作品についてどう捉え、どう訳したのか。

5人の作家が作品の魅力や訳の工夫を語る古典入門ガイド。


古典を読んでみましょう 橋本治著

筑摩書房・2014.7出版

様々な時代の古典をとり上げ、その魅力を紹介している。入門書。

『ちょっと意地悪な樋口一葉、和文脈の文章と漢文脈の文章、日本語は不思議に続いている、はっきりした説明をしない小野小町、春はどうして「曙」なのか?、分からないものを読んでもよく分からない、亀の恩返し、古典を読んだ方がいい理由(浦島太郎はじいさんじゃなくて鶴になったの?寸法師はじつは性格が悪くてやりたい放題だった?)、今とは違うこと、意外に今と同じこと、歴史はくるくると変わる、日本語が変わる時平安文学でわかる恋の法則。


平安文学でわかる恋の法則   高木和子著

岩波書店・2011.10出版

古典文学に見られるストーリー展開などには一種の法則があり、なかでも平安文学によく出てくるパターンを紹介しながら、恋や人生について当時の風俗や人々のものの考え方を解説。深くて切ない平安文学案内。

古典文学史略年表や入門書の案内などもあり、充実している一冊。入門書。 


おもしろ古典教室 上野誠著

筑摩書房・2006.4出版

著者が行っている高校生のための出前授業をもとにまとめられた本。「おもしろい」を入り口に、わかりやすく古典の楽しみ方を伝授してくださる。入門書。


古典がもっと好きになる  田中貴子著

岩波書店岩波ジュニア新書・2004.6出版

古文のおちこぼれだった著者がなぜか国文学者になってしまった体験をもとにして、文法にしばられない古典の楽しさを案内してくださる。色々な古典や教科書では古典として認定されなかった作品をとりあげて、現代語訳で紹介。入門書。


恋の歌、恋の物語-日本古典を読む楽しみ-  林望著

岩波書店岩波ジュニア新書・2002.5出版

日本文学の根幹は「恋」。「古事記」の国産み神話も男神女神の相聞から始まり、「万葉集」や平安貴族の古今・新古今和歌集もすべて恋の歌として読み解くことができる。日本文学史上最大のベストセラー「伊勢物語」は恋の手引き書だからこそ売れたという。入門書。

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